第30回日本口腔ケア協会学術大会並びに日本口腔ケア学会春季大会開催にあたって
第30回日本口腔ケア協会学術大会 並びに 日本口腔ケア学会春季大会
大会長 小林 恒
(弘前大学大学院医学研究科歯科口腔外科学講座)

第30回日本口腔ケア協会学術大会並びに日本口腔ケア学会春季大会は弘前大学大学院医学研究科歯科口腔外科学講座が担当させていただくことになりました。現在、口腔ケアを必要とする患者の対応には歯科のみの対応ではなく医歯薬連携の重要性が広く認識されています。また、健康寿命の延伸のためには口腔疾患の管理の重要性が様々なエビデンスにより知られています。今回の春季大会のテーマは「健康増進を目指した口腔ケア」として他職種連携により口腔を健康にすることで全身の健康維持を目標とした取り組みに焦点をあてました。特別講演は弘前大学特任教授の中路重之先生にお願いしました。中路重之先生は「短命県返上」をスローガンに2000項目以上の超多項目健康ビッグデータで「寿命革命」を実現する健康未来イノベーションプロジェクトを2005年から継続し、今は弘前大学を牽引するビックプロジェクトのトップリーダーです。また、弘前大学だけではなく多くの企業も参画することで社会全体としての健康増進に向けて取り組みが行われています。このプロジェクトでは開始当時から口腔関連データを現在まで継続して収集しており、そのデータを用いて口腔と全身の関係について多岐にわたるエビデンスが作り出されています。
シンポジウムとして周術期口腔管理に関する他職種連携、薬剤関連顎骨壊死に対する医歯薬連携について、歯科医師、医師、薬剤師、歯科衛生士などの多様な職種の皆様に登壇頂き、討論を予定しています。口腔ケアは単独で対応するのではなく、多くの人々の力をかりて、より広い範囲で対応することで、「誰も取り残さない口腔ケア」が可能になることが理想です。 本シンポジウムにより、他職種の垣根がより低くなり、また知識が共有されることで、よりよい口腔ケアが浸透することを願っています。
本大会は現地開催として行いますが、併催するICD講習会は現地の他にオンラインでの配信も行います。開催時期は3月とまだ雪の残る季節ではありますが、早春の青森県の食を楽しみつつ学びのある学術大会になるように、教室員一同準備をいたします。皆様のご参加を心よりお待ちしております。